#足りぬ物に満ち満ちて

まんぞくのブログ

鹿児島CS決勝戦カバレージ

 長かった戦いも遂に決勝を残すのみとなった。

 

 決勝に駒を進めたのは『赤単ブランド』を使い駆け抜けてきたhayate『アナカラーデッドダムド』を使い対面をコントロールしてきたゲルネウスキッズだ。

 

 一見すると『赤単ブランド』側に分があるマッチングだが、デュエル・マスターズには何があるかわからない。予選では《大地門ライフ・ゲート》をトリガーさせ《禁断機関VV-8》を4ターン目に起動することで『赤単ブランド』に勝利したとゲルネウスキッズは筆者に語る。

 

 ジャッジとギャラリーが見守る中戦いは静かに始まった。

 

 

先行:ゲルネウスキッズ

 

 大会ルールにより、予選順位の高かったゲルネウスキッズの先行でゲームは始まる。

 

 回ってしまえば3ターン目に決着をつけてしまう『赤単ブランド』相手に先行を取れたことは、受けのパッケージの少ない『アナカラーデッドダムド』にとって大きなアドバンテージだ。

 

 泣いても笑っても1本勝負。己の命運をかけた手札を確認する前にゲルネウスキッズは祈りを声に出す。

 

ゲルネウスキッズ「お願い!」

 

 と、同時にこぼれるため息。苦笑いのような苦悶の表情。望んでいた手札ではないようだ。それでも考える。3ターン後には勝負が決しているのかもしれないのだから。

 

 ゲルネウスキッズの手が止まる。しばし考えた結果、意を決して《轟く革命レッドギラゾーン》をチャージ。hayateにターンが移る。

 

 対するhayateも後攻のドローを含めても手札が万全とは言えないようで、首を捻り考える。

 

 hayateが操る『赤単ブランド』は、「速攻で殴って勝つ」という単純明快なそのコンセプトから初心者をはじめ手練れのプレイヤーまで広く愛用されるデッキだ。

 

 だが、ただ引いたカードを出せばいい、相手に攻撃を仕掛ければいいとも言えない。早期に決着がつくデッキがゆえに、1ターン目の行動でもゲームが左右されてしまう。

 

 悩んだ末《カンゴク入道》をチャージ。1コストのクリーチャーは場に送り出されることはなく、ターンが終わる。

 

 両者静かに、しかし確実にエンジンを温めながらゲームは始まった。

 

 2ターン目からの攻撃はないとはいえ『アナカラーデッドダムド』がこのターンできることは基本的にマナ加速か手札破壊しかない。

 

 ゲルネウスキッズは《絶望と反魂と滅殺の決断》をチャージし《悪魔妖精ベラドンナ》をプレイ。マナ加速を選択、マナゾーンに《フェアリー・Re:ライフ》が置かれる。

 

 ドローしたカードを確認し《グレイト-S駆》をチャージしたhayateは《カンゴク入道》を場に送り込み、ターン終了時にシールドを1枚手札に加える。

 

 ゲルネウスキッズはドローしたカードを確認すると盤面を確認し、計算を始める。

 

ゲルネウスキッズ「手札何枚ですか?」

 

hayate「5枚です」

 

 その返答に対してマナチャージを済ませると手札から《虹速ザ・ヴェルデ》を召喚し《カンゴク入道》を攻撃。侵略、革命チェンジなどの宣言はなく、鬼タイム未達成のためそのまま《カンゴク入道》は破壊される。3ターンキルに必要な打点を減らされ、ターンがhayatoに移る。


 ドローするとhayateも相手の手札の枚数を確認。2枚。「うーん……」と呟き考える。 

 hayateの手札は6枚。マナは2マナ。シールドは4枚。盤面にクリーチャーはなし。ゲルネウスキッズの手札は2枚。マナは4マナ。シールドは5枚。盤面には《虹速ザ・ヴェルデ》が1体。

 

 最速3ターン目キルを誇る『赤単ブランド』であるが、このターンに勝利することはほぼ不可能だ。

 

 もう足止めは必要ないと考えたのか《月砂フロッガ-1》をマナチャージすると流れるように《凶戦士ブレイズ・クロー》《グレイト-"S駆"》《"罰怒"ブランド》を場に送り出す。

 

 《"罰怒"ブランド》で《虹速ザ・ヴェルデ》に攻撃し、追撃を考える。このターン攻撃することで次のターンの必要打点は減るが、相手に対処する手札を与えてしまう。

 

 少し考えた後、このターンは一度立ち止まろうと決めターンを終えようとするhayate。しかし《凶戦士ブレイズ・クロー》はそれを許さなかった。

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──勝利の秘訣は速さ!速さ!

 

 持ち主の意思とは関係なく《凶戦士ブレイズ・クロー》が走る。シールドをブレイク。宣言はなし。

 

 hayateはここでさらに考える。相手の手札が3枚であることを確認すると《グレイト-"S駆"》を手に持ち、少しの間の後追撃を仕掛ける。宣言はなし。はからずも彼に攻めの選択肢を選ばせた《凶戦士ブレイズ・クロー》が破壊され、ターンが終わる。

 

 このターンでどうにか負け筋を減らさなければ未来はない。この日最後になるかもしれないドロー。ゲルネウスキッズの口からため息が溢れる。《生命と大地と轟破の決断》をマナチャージ。

 

 hayateの手札は2枚。盤面には《グレイト-"S駆"》と《"罰怒"ブランド》が並ぶ。このまま何もなければ《"罰怒"ブランド》のスピードアタッカー付与効果により何かクリーチャーを召喚するだけで必要な打点は揃う状況だ。

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 盤面と墓地を確認し考えた末、命運を託し《絶望と反魂と滅殺の決断》で手札破壊を2回選択。これでhayateの手札はゼロ。相手のトップドローに勝負を託し、ターンを終えた。

 

 それを受けたhayateは、勝利を掴むためデッキトップに手を伸ばす。

 

hayate「お願い!なんでもいい!」

 

ゲルネウスキッズ「マジやめて」

 

 祈りが届いたのはhayateだった。ドローしたカードは……

 

 

 

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《グレイト-"S駆"》!

 

 そのまま迷うことなく召喚し 《グレイト-"S駆"》でシールドをブレイク。確認。何もなし。

 

 《"罰怒"ブランド》でシールドをブレイク。

 

 「お願い!」とゲーム開始時に手札を確認する前に宣言したゲルネウスキッズだったが、ここでは「あるはずもなく……」とこぼしながらシールドを確認する。シールドには何もなし。音速の疾走を阻むものはない。

 

 hayateの祈りに応えた《グレイト"S-駆"》がまっすぐ勝利へ駆け抜けた。

 

WINNER:hayate

 

 

 

 試合が終わり、ゲルネウスキッズの並べたデッキレシピを見たギャラリーがhayateのことをこう言った。

 

 「トリガー2枚じゃこいつは踏まないよ」